ヘミオラ

現在の出版楽譜において、バッハやヘンデルなどバロック時代の曲には、譜例1のような一見シンコペーションのような箇所をよく見かけます。

実は、シンコペーションではなく、一時的に拍子が変化するヘミオラ(Hemiola)というもので、当然ながら演奏も拍子感を意識したものになります。
自筆譜や初版出版物などでは譜例2の様な書き方をしてる例も多く見かけますが、どちらでも同じです。

譜例


この楽譜では譜例1の最後から3小節目2小節の2小節が一つになり拍子が譜例2にように3/2拍子になっています。

以下の曲はプレトリウスのテールプソコーレから

TERPSOCORE(1612)からクーラント

一見してヘミオラがなさそうに見えますが、よく見たら音符の並び方からヘミオラらしきものが見受けられます。

Courante

聴いてみてヘミオラの部分が判りますでしょうか?
動画ではドラムパードで拍子感を補完して解りやすくしています。

二拍子にもヘミオラ?

以下の例では例えば1小節目において表紙は6/4拍子なのですが、小節の残り半分が12/8拍子になっています。
これもヘミオラと考えられます。

譜例

フレスコバルディ作曲「Aria detta balletto」から

以下の様なウィキペディアの記載にある「三拍子の曲で二小節相当の三拍子一小節を挿入したもの」だけがヘミオラではなく、ヘミオラは単純に「一時的な拍子(分割)の変化」を指すのではないでしょうか。

ヘミオラ

ヘミオラ (hemiola) とは、主にバロック音楽やクラシック(古典音楽、特にベートーヴェン)などにおいて、3拍子の曲で、2小節をまとめてそれを3つの拍に分け、大きな3拍子のようにすることをいう。もとの意味は「1足す2分の1」。終止カデンツにおいて使われることが多い。

そうすると、元来の4分の3拍子は消え去り、大きな2分の3拍子のように聞こえる。このようなものをヘミオラと呼ぶ。聴こえ方の特徴としては、強拍がずれるため、突然本来の拍節感を失う。そのため、その部分だけが大変不思議な感覚を感じることになる。

(引用:ウィキペディア 2017年5月2日版)

「その部分だけが大変不思議な感覚を感じることになる。」って誰がWikipediaのこの部分を記述したのかは知りませんが、私は拍子が一時的に変化することによってメリハリや躍動感に溢れて、とても効果的と思うのだけど・・・・

現在はこの記述は次のように変更されていました。

ヘミオラ

ヘミオラ (hemiola) とは、いわゆるポリリズムの一種で、主にバロック音楽やクラシック(古典音楽、特にベートーヴェン)などにおいて、3拍子の曲で、2小節をまとめてそれを3つの拍に分け、大きな3拍子のようにすることをいう。もとの意味は「1足す2分の1」。終止カデンツにおいて使われることが多い。ヘミオーレともいう。
たとえば、4分の3拍子の曲の途中で下図上段のような音型が現れると、下段のような3つの2分音符に聞こえる。このようなものをヘミオラと呼ぶ。

(引用:ウィキペディア 2019年6月30日版

ウィキペディアのページはこのようにいつのまにか書き換えられていたようです。
ヘミオラをポリリズムの一種と解説していりますが、ポリリズムとは例えば第一バイオリンが3拍子で第二バイオリンが2拍子のように、異なったリズムまたは拍子が同時に使われることなので全声部に影響するヘミオラはポリリズムではありません

私のピアノ曲で申し訳ないですが、以下がポリリズムの一例です。

鞠つき

冒頭の数小節では右手は9/6拍子で進み、左手の伴奏は基本2/4拍子のリズムを刻んでいす。
このように異なるリズム(または拍子)が同時に存在することをポリリズムといいます。
この曲はポリリズムとモノリズムが同居しています。

コメント

  1. HOLDON より:

    おはようございます。
    お題発表も終わりやって来ました。
    私もこれは三拍子系が多いと思っていました。
    ジャズなどとは違いますがリズムカルなノリに弾みをつけそうな感覚・・・・そう感じました。
    温故知新・・・
    アレンジに使えそうですね♪