モンテヴェルディ「オルフェオ」

クラウディオ.モンテヴェルディといえば、ルネサンスからバロック時代にかけて活躍した作曲家で、作風もルネッサンス様式からバロック様式まで幅広く興味深い作曲家です。
また、同時代の作曲家ヤコポ・ペーリとの共作のオペラ「エウリディーチェ」が音楽史上、楽譜が現存する最古のオペラとされています。
オルフェオは先述のエウリディーチェに登場する人物で、そのオルフェオを主人公にした台本に作曲されたモンテヴェルディ渾身の作品。

一曲目はトッカータと題されたファンファーレ風な序曲。
この曲の冒頭には

Toccata che si suona avanti il levar de la tela tre volte con tutti li stromenti, & si fa un
Tuono più alto volendo sonar le trombe con le sordine.

(意訳:トッカータはミュートされた高音のトランペットを用い、すべての楽器を使って3度繰り返して表現されなければならない。より高いトーンを奏でる時ミュートを使ってトランペットを演奏します)

と、三回繰り返して演奏するように指示が書かれています。

続く二曲目は第一幕冒頭を飾るわずか数小節のリトルネッロ(Ritornèllo)。このあとレチタティーヴォ(Recitativo)がいくつか続き、それらの合間にこのリトルネッロが部分的または全体を繰り返され演奏され、リトルネッロは人物あるいは情景を表すもので、今風に言うとテーマ・ソングみたいなものです。

以下はトッカータの楽譜
一番上のパートのあるクラリーノ(Clarino)は高音専用のトランペットのこと)

当時の楽器を使った実際の演奏。(演奏時間が2時間なのでご注意)

アリアはカンタータやオラトリオの影響で後にオペラの中で歌われるようになりますが、この頃のオペラは合唱やバレエを伴いますが、あくまでレチタティーヴォが主体です。

わたしは12分40秒あたりのダンスが幻想的で特に好きです。
古典派(クラシック)の時代に確立された和声進行ではなく、ルネサンス時代の名残りを残した教会旋法の響きがとてもいいですね。
ヘミオラも意識された演奏、歌の装飾法も、例えばトリルが現在と違ってゆっくりから速くなるトレモロなど、当時の奏法で演奏されています。

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