通奏低音

通奏低音とは

通奏低音(伊:Basso continuo 英:Throughbass 独:Generalbass)は主にバロック時代に流行り、モーツァルトの時代を最後に徐々に使われなくなりました。
最近古楽ブームから再評価され再び演奏に用いられるようになりました。

通奏低音を持続低音(オルゲルプンクト)と勘違いしてる方が多いので注意が必要です。
つまり、伊独英語を訳すると「常に演奏されるバス声部」と言う意味ですので、音を長く引き伸ばして保持する侍読音ではないということ。

通奏低音は通常バスパートにチェンバロやオルガンのような鍵盤楽器やリュートなどの撥弦楽器といった和音を奏でられる楽器が追加され、多くは低音楽器と和音楽器(最低構成楽器は和音楽器をどれか一つ)の構成が好んで用いられました。曲によっては様々な楽器が入れ代わり立ち代わり、あるいはそれ等の全てを用いて奏されました。

上記譜例のようにバスパートの下部に(上部にあることも)数字が書かれていて、この数字は運指ではなく和音構成音を指示しています。通奏低音奏者はこの数字を頼りに即興で和音を補完します。

以下が上記の通奏低音パートの実施(リアライズ)の例です。

概要


数字の基本

  1. 一番下の音の上に3度と5度を重ねたものを三和音と言い、和音の基本形になります。
  2. 3度音が一番下になったものが第一転回形(六の和音)と呼びます。
  3. 同様に5度音が一番下になった形が第二転回形(四・六の和音)です。
  4. 基本三和音に第7音を加えたものが七の和音と呼びます。
  5. 同じ理屈で第一転回形(五・六の和音)。
  6. 第二転回形(三・四の和音)。
  7. 第三転回形(ニ・四の和音)。
  • 数字の書き方は数字が大きい方を上にして縦書きにします。
  • (括弧)で囲んでいる数字は省略して記しても構わない数字です。
    数字が何もない場合は最初の例1の基本の三和音である可能性が高いということ事になります。

実施例

このようにバス声部が同じ音形を繰り返す場合、追従する他楽器の旋律を借りて(模倣して)演奏するのも効果的です。

>数字が4,3と横に並んでいるものは多くの場合は係留音です。

その他

  • 数字の後に書かれている臨時記号(前に書く人もいます)の場合、例えば#が単独で出た場合は省略された「3」に対する臨時記号です。
  • 数字を斜線をいれているものは取り消し線ではなく#と同じ意味です。

他にもいろいろ規則がありますので、詳しくはヘルマン・ケラー著の「通奏低音奏法」などを読むと基礎がわかります。

最後に「アンナ・マクダレーナバッハの音楽帳」より「パイプの歌」の通奏低音の実施例です(小さな楽譜のパート)。


この動画では歌のパートをフルート(リコーダー)、通奏低音にチェロとチェンバロを用いています。

この例のように数字は書かれていませんが、このように通奏低音に数字が書かれていない場合も少なくありません。
またチェンバロのソロ曲を演奏するときでも、内声を適時補完して演奏するのは望ましい事とされています。

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